詩吟が若い女性に人気の秘密




著書『詩吟女子』を出版してから、実際に若い女性(特に20代前半)が多くナチュラル詩吟教室に入会して詩吟を始めています。


実はこの本のタイトル、 出版社がつけてくれたのですが、「〇〇女子」だなんて何てあざといんだ!と最初は憤慨していたものの、本当にこのタイトルにしてよかったなあ、と実感している次第です。


彼女たちに詩吟を始めたきっかけを聞いてみると、和楽器バンドが好き!という方がまあ多いこと。和楽器バンドというのは和楽器、つまり琴、尺八、三味線、和太鼓など師範クラスの若者たちによる和風ビジュアル系ロックバンドで、海外や日本のテレビなんかでも注目を集めています。


また、このバンドのボーカルが詩吟の実力者で超美人(!)。こんなスターがいたら詩吟も流行るのになあ、という甘い幻想を見事に体現してくれていて、本当にありがたいです。


それで、そんな詩吟女子たちの中でも顕著なのが、レキジョ(歴史好き女子)であるということ。と言ってもライトな方だとは思うのですが、まあ歴史設定の漫画やアニメが人気ということもあって、特に、幕末好きが詩吟をやりたいやりたい、と言ってきているわけです。


確かに詩吟は、江戸末期に漢文の朗読から始まったものということもあって、幕末に活躍した英雄が作った漢詩が多くあります。「勝海舟の漢詩もあるよ~」なんて言ってみると、「きゃ~かっこいい~♡」なんてアイドル並みの扱いですから、こちらも楽しくなってきちゃうわけで。。。


でも、まてよ。そもそも詩吟というのはそういう側面もあったんじゃあないかしら。


現今の詩吟の主流は、音楽的な歌、重視傾向にありますが、古き偉人の詩を声に出して味わうという意味では、そういう一見横しまっぽく、伝統を重んじるご年配の男性諸氏が眉をひそめそうなきっかけこそが、本来の詩吟の愉しみ方にかなり近いかもしれない……云々かんぬん。


まあ、難しいことはひとまずおいといて、好きな詩、或は好きな作者の詩を吟ずると何万倍の速度で上達が速くなるし、とにかく楽しくお稽古ができるっていうことだけは絶対!、ともともとデカい声を大にして言っている私が言うんです。


それにしても、好きな詩とそうでない詩の出来がまあ違うこと(私)。芸能として考えたらそんなことはあっていけないはずですが、趣味で、自分のためにやるのであれば、好き勝手やってなんぼのもんじゃーい、という部分もあると思います。


詩吟の偉い先生がよくおっしゃる、「作者の気持ちになって吟じろ云々かんぬん……」が、幼い頃から詩吟をやっていた私にとっては、「そんなことわかるわけな……」と思っていたのが、そんな彼女たちをみて、「そういうことか!」ちょっとわかるかもしれない……。


だって、幕末スターが血気盛んで若くして死んでる、ということは、この詩を作ったのもの20代だしねー。


そんな話しをナチュラル詩吟教室の男性の生徒さんに話したら、実は官軍大嫌い、と言っていたものの、そもそも吉田松陰みたいな人は頭良いけど、命懸けで上に楯突くでしょう、僕は上司にそんなこと言わないもん、と言っていたのが印象的でした。


まあ世の中かっこいいことばかりではまかり通らないわけですが、にしても若い女性たちが、なかば空想の世界を通して詩吟を楽しむ、というきっかけは、なんだかハッピーで、詩の内容自体はかなり政治に結びつくのだけれども、若い女性は政治的要素は一切かみしてない。


ただ、詩が、言葉がかっこいい。それを確かに良くない方に利用されていた歴史がないとは言えないけれども、その圧倒的な力を、良い方に利用できたらなあ、と思う次第です。


***


ところで、私は最近ホットヨガなるものハマっていて、ほぼ毎日気持ち悪いくらい通っています。


なぜなら、ヨガを詩吟の稽古にちょこっと取り入れたり、ヨガのポーズや精神性が詩吟とマッチするというようなことを本で書いたりもしたせいか、生徒さんがこっそりヨガを始めていて、急に上手くなったりしてるもんだからどうしたのですか?!と問うと、実はヨガに週2~3で通っています。なんて言うものですから、こりゃー負けてられん!というわけで、必死になっているわけです。


こういう話しをすると、じゃあヨガをやらないと詩吟が上手くならないのか、というとそういうわけではなく、実際に詩吟の稽古でも取り入れたりしているので、それでも充分かと思いますが、生徒さんが勝手にやっていることです。


私がヨガに通う理由として、まあその前提にヨガが驚くほど、若い女性に流行っているということがあります。


興味がない人はどうでもいいと感じると思いますが、平日の朝からヨガスタジオはぱんぱんのぎゅうぎゅうです。私の地元吉祥寺圏内では、新しいヨガスタジオがばんばん立っていて激戦区状態。吉祥寺だけかもしれませんが、目を見張るものがあります。


そんなにヨガが若い女性たちに流行っているのなら、実際に通ってみればその理由がわかるかもしれない。


それで毎日通ってみてわかっちゃったんです。


ヨガの何がそんなに魅力的なのか。


女性はダイエットを考えると思います。しかし、ほぼ毎日通っている私が言うに、ちょっとは痩せるけど気になっている二の腕とかあんまり変わらない……。


けど、行く。




なぜか。




自分の身体の微妙な変化がわかるんです。




だからどうしたって感じ。私もずーっとそう思ってたんです。そんなの自分が頑張れば何とかなるのではないの、と。


でも、ナチュラル詩吟教室の生徒さんもよく言うんです。ちょっとした声の出方の変化にはっ、と気付いたり。



それがものすごーーーーーーく感動的ということが今日わかったんです。


きっとそれがものすごく大切なことなんですね。上手くできるとかは二の次で、変化を感じること。


それはつまり、こんな私が言うのもなんなのですが、「自分自身と向きあう」ということなのかもしれない。


毎日忙しく会社のため、家族のため、誰かのためにみんな一生懸命はたらいてますよね。そんな中で「自分自身のため」に何かするということが、昔より少なくなっている。休むつもりがテレビやインターネットをぼんやり眺めることに費やしてしまったり……。


そもそも習い事をする、というのは「自分自身のため」の時間をつくることなんですね。


***


私は今日のヨガのレッスンで、ただの直立不動である山のポーズで、いつもゆらゆらしていたのが、何故かビッと立っていることができて感動しちゃって涙がじんわりしてしまいました(気持ち悪い)。


ヨガを始めて3年目にしてやっとです。でも最初はゆれるのが当たり前で、まさかゆれなくなるなんて思いもよらなかったのです。


何が言いたいかというと、続けることで、見えなかったものが見えてくる。


できなかったことができるようになる。


と、なんとか自分を慰めたい気にもなりますが、仕事でも家族関係その他もろもろでもいろいろそういうことはあって、そういうことなんだなって思う。(なんじゃそりゃ!)


しかし、改めて考えてもヨガなんつーものは、宗教であって古典であってオカルトであって凡人にはできないものであったはずです。歴史的にみて。それが、今この現状で、遂には今期、あの道端ジェシカさんがでるヨガ映画までやるっていうではありませんか!!


こりゃーもーねー詩吟映画があってもおかしくないですよ!みんなに鼻で笑われてますが私は企画書考えてますからね!


面白いかどうかは別として、吟ずると歴史上の人物に会えるSFと頑張れと憧れの先輩みたいに吟じたいというラブコメで詩吟映画があったらいいなあ~。


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