私事で恐縮ですが、引っ越すことになりました


neohachiの相方・エリーサンとトーハクへ行ってきた

私事で恐縮ですが、引っ越すことになりました。


かねてより夢にまでみた渋谷周辺。渋谷センター街のナチュラル詩吟教室よりギリ徒歩圏内なのであります。驚きの低価格な物件を見つけちゃったんです。


これにより吉祥寺教場は打ち切りにさせていただきますが、今まで以上にセンター街のナチュラル詩吟教室や、他の場所での稽古など、詩吟を広める活動に専念していくつもりです。


もー嬉しくって毎晩良い夢をみてます。窓の隙間に綺麗な水槽が現われたり、名言を思いついたり(全部忘れてる)、たまに新居のお風呂が狭過ぎるなる悪夢までみながら新しい第一歩に打ち震えています。


荷物の整理を始めたものの、捨てるものもほんとに少し。そりゃそうだと言ったところ。そもそも『詩吟女子』執筆のための仮住まいと心に決めて、寝るもの、本を読むもの、原稿を書くためのもの、くらいしかないのでした。


執筆中は、印税が入ったら絶対渋谷に住んでやるぞー!という意気込みで何とかやっていましたが、印税というのはそんなものではないのですね。それでも節約生活を続け、満を持したといったところです。


今後は、かねてよりやっているneohachiという詩吟とシンセのユニットのワークにも打ち込みたい所存です。何しろneohachiの相方・エリーサンがご近所となるため、夢いっぱいです。


それにしても、これまで、ナチュラル詩吟教室の生徒さんや、支えてくださった方々のおかげ極まりないことを痛感します。本当にいつもありがとうございます。


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ここからが本題です。 「なんだかんだ言っても、詩吟の楽しさはやってみなけりゃわからない、につきる」。


本当に本当にそうなので、かと言って、それどまりでもしょうがないのでいろいろ考えてはいますが、それにしても特に2年、3年、とナチュラル詩吟教室でお稽古を重ねている生徒さんがみるみる変化し始めています。


お一人お一人の話しをここでしたいところですが、そうもいかないので、ちょっとだけ書きます。


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まず、吟じているときに、全く動かなくなった生徒さん。


これが凄い。


想像していただければわかるかと思いますが、大抵、歌を歌おうとすると身体が動くものです。これが悪いとはいいませんが、詩吟道の目指すところに、というか、良い声を出すためには、無駄な動きを排除することが必須なので稽古するわけです。


で、これが、ほんとーーーに難しい。でもできるんですね。そういう人はまるで"山"みたい。


山にみえるんです。山って凄いなーって思うでしょ。あの感じになるんですね。


見ているこちらがリスペクト(尊敬)な気持ちになりますね。これって日本人的なのかなあ、なんて思ったり。


型、と言ってしまえば簡単ですが、実際難しいから案外軽視されてて、なかなかそういう姿を見受ける機会はないと思うんですが、これだけでも結構びっくりなんですね。


それで、生徒さんから言われてはっとしたことなんですが、例えば私がどこへ行っても吟じてそこにいたみなさんをびっくりさせるのも、ただ詩吟をやったから、大きな声が出たから以上に、まさか不動の小さな人物からこんなにも声が出るとは……、というところにあると思います、と。


それは技術ありきではありますが、じゃあ、私が子どもの頃から詩吟をやっていたから、とか、まあ、それももちろんありますが、ナチュラル詩吟教室の生徒さんは2、3年でできてます。まさかの、まさかです。実は、そのためにやってきたのがナチュラル詩吟教室でもあります。


とは言え、詩吟が上手くなるという以上に、詩吟をやっていて得るものがある、というふうになればいいなというのが、私の本望であります。


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先日は、小学校四年生の子が入会しました。きっかけは、同級生の仲の良いこが私の母の詩吟教室に通っているのだけれども、そのこが、学校でスピーチコンテストで優勝したり、合唱ではソロを担当して、大声を出して周りを震撼させたりしていて、何か秘密があるはず!となったそうです。


それで、親同士の話しを聞いていると、彼が詩吟を習っているとのこと。私もやりたい!ということで、お家の近くのナチュラル詩吟教室の来てくれたわけです。まったくもってやる気満々で圧倒されるほどであります。


この話しの断片をある生徒さんにしたところ、いやいや私も変わりましたよ、とのこと。今年初段をとった生徒さん。仕事は多勢の前で話すことでありながら、実はどうにもならない緊張があったそう。でもね、それが20年続いたのが、たった3年の詩吟でなくなりました、と言うんです。



20年治らなかった緊張が、たった3年で!?ですよ。




彼女が言うには、(仕事での)周りの目が変わって来たとのこと。


詩吟初段をとって(それまでの審査試験や発表会の舞台など含め)、相当何かが変わったようです。


それはどういうことかと言うと、詩吟の発表が、仕事である人前で話すことの何倍も怖いし、緊張する。だからこそ、仕事の方に余裕が持てた。つまり、詩吟の発表会はもっと緊張したから今は大丈夫と思えるようになった。ということでした。


彼女が人前で話すプロだと知っていたので唖然としてしまったわけです。


びっくりしすぎて内蔵が慣れて来たんじゃあないか説を唱えたくらいです。(※「内蔵ぐんにゃり論」詩吟の呼吸法で肚、つまり内蔵をよく動かしていると肝がすわってくるというやつです。審査会や発表会にでる類いもこれによって鍛えられる理論。)


でも、本当にそれが彼女にとって革命だったらしく、よくよく話しをきくと、人前で話すプロでありながらも、子どもの頃はそれがかなり苦手だったという面をもっていたといいます。だからこそ、詩吟を始めて自信が持てるようになった。今度は自分が、自信が持てないと悩む子どもたちに詩吟を伝えたい、と言っていました。


詩吟を始めて何かが変わった……。


そんな目に見えてすぐにはないかもしれません。


ただこれだけはわかることがあります。


詩吟をやると、ほんの少しだけ世界が変わる。


それが結果的に何か、いろいろな方面で、大きく変わることに繋がるのかも知れません。


私も、新しい土地で、親子詩吟とか、詩吟道場とか、何か新しいことをやりたい所存です。


少しの変化が、そんな思いにさせてくれるのかもしれません。


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