[7月]スーパー猛暑に吟じたい詩吟「夏日偶成」


毎日猛烈な暑さが続きます。勉強なんかやってられないし、外に出て木陰で涼もうと思っても、むんむんと木から湯気が立っているようです。さて、そんなスーパー猛暑に吟じたい詩吟をご紹介します。



午倦書をなげうって 新茗煎る
中庭に搨を移せば 樹烟の如し
緑重重の裏 夕陽照らす
一朶の 石榴紅燃えんと欲す

(「夏日偶成」/三浦英蘭 )

▼通釈
夏の日中とて、何をしていてもけだるい。つい倦きてしまって、読んでいた本を抛り出し、暑気払いにでもと新茶をいれる。腰かけを庭の中に移動して涼を求めようとすると、庭の樹はもやがかかったようにかすんでいる。青葉が幾重にも重なりあっているところを、ちょうど夕陽が照らして、一枝のざくろの花は、まさに、燃えるように紅く輝いている。(※出典:「吟詠教本1」日本詩吟学院)


石榴(ざくろ)の花は夏に咲きます。夏らしい鮮やかな朱色。“紅一点”という言葉はこのざくろの花が由来だそうです。

この詩が作られたのは100年くらい前です。今ほどの猛暑ではないにしてもクーラーもない時代。夏の厳しい暑さに対する気持ちは今とそう変わらなかったのではないでしょうか。

そんな中でも緑や紅、夕陽や石榴など美しい言葉が彩りを添えていて、なんとも風流です。この詩を吟じると夏の暑さも少しはやわらぐかもしれません。


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